※インタビュー記事(聞き手:庄島瑞恵)
省エネ&食品ロス削減でCO2を削減
佐賀市中央大通りから白山アーケードに入ってすぐのところに、令和6年12月まで店を構えていた「鮨・椿油天ぷら八木」。かつて佐賀市唐人で天ぷら専門店を営んでいた父・三夫さんの味を受け継ぎながら、息子の努さんが修行で磨いた鮨も提供する「和のいいとこどり」の人気店です。令和7年2月20日からは大和町に店を移してオープンしたばかり。 移転前から環境に配慮した取り組みを進めてきた八木さんは、これまでの店舗での実践を活かし、ゼロカーボンシティの実現にも貢献していきます。移転先の店舗でも省エネ設備の導入に加え、食品ロス削減や地産地消を実践しながら地域に根付いた店に育てていきたいと意欲を燃やしています。今回は、そんな八木さんの環境配慮の取り組みについて伺いました。
アクションは「何かできることはないか?」と探すことから始まった

「ゼロカーボンシティさがし推進パートナー」の取り組み事例として、飲食店が紹介されるのは初めてのことです。今回、どういうきっかけでパートナーの申請に至ったのかお尋ねしてみました。
「数年前にインターネットで「ゼロカーボンシティ推進パートナー制度」のサイトを見て、自分の店舗でも取り組めるんじゃないかなと考えたのがきっかけです。店でできることを探してみて、照明をLEDにして、省エネ対応型のエアコンを導入したことで、節電につながりました」。(八木さん) 以前は、省エネタイプではないエアコンとファンヒーターで店内の暖房を行っていましたが、省エネ対応型のエアコン導入後は基本的にはこのエアコンだけで暖房し、特に寒い日にファンヒーターをプラスすることで冬場を乗り切れたそうです。
仕入れたものを全て活用する意識で! 廃棄を減らすための情報をSNSからも入手
料理人の信条は、食材を大切に使い、美味しい料理を提供すること。八木さんもその工夫を怠りません。
「使える部分、使えない部分はもちろんありますが、使えない部分を捨ててしまったらただのゴミになってしまいます。うちでは生ごみを肥料にしている人に譲ったり、野菜の皮を漬物にしたりして、ゴミとして出す量を減らしています。使えない部分をそのまま捨てたらお金を捨てるようなものですからね。売れないにしても自分たちで消費することはできます。」(八木さん) 意識的にゴミを減らすアクションを続ける中で、SNSなどからヒントやアイデアを得てメニューを試してみることもあるそう。プロの料理人もSNSや動画の情報を参考にして、日々の努力を惜しまない姿勢に頭が下がります。




移転した店舗でもCO2削減を積極的に実践!ゆくゆくは野菜づくりも視野に
新しい店舗は2階建てで、収容人数も街なかのお店より倍以上にアップしました。現在、オープンに向けて工事が進められています。空調設備は省エネ対応の業務用エアコンを導入し、照明のLED化も行っています。
街なかから郊外へ移ったことで新たな取り組みも検討中だそうです。その一つが「野菜の栽培」です。自分で野菜を育てて、消費するというサイクルは最高のエコ活動です。畑をつくったら、店で出たゴミは肥料づくりに活用でき、店で循環型の環境活動が実践できます。
「現在、佐賀県産の野菜を中心に使っていますが、野菜を自分でつくってみたいなという考えもあります。店の隣が畑だったら一番理想的なのですが、それは無理なので、どこかいい場所があったらいいですね。情報があったらお願いします!」と八木さん。


やれることを継続することが大切。まずはできることを探してみよう
「何かできることがないか?」という問いからできることを実践している八木さんはCO2削減という課題をどう捉えているのでしょう?
「大きなことをいきなりやるのではなく、できることからやるという感じです。例えば今年やる目標を決めて、それをクリアしたら次へ、という感じですね。そして、継続していけること。これが大事だと思います。他の飲食店さんもできることは必ずあると思います。飲食店としてどういう取り組みをしたらいいのか、分かりやすい情報があったらいいかもしれませんね」
他の飲食店でも既にCO2削減に繋がることを実践していても、それに気付いていないのかも? 照明や空調設備を省エネタイプのものにする、ゴミを削減する、使用油をリサイクルに出す…。今、挙げたことは実践例のほんの一部です。 「あ、それなら実践している!」という項目がどれかあるはずです。何からやったらいいか分からない、ウチは関係ないと思考をストップしないで、「できること」を探してみませんか? そして、まずは実践、そこから継続してみましょう。その一歩が少量のCO2排出削減につながり、実践項目、実践人数が増えたら大きな量の削減が実現します。意外と実践のハードルは低いと思いませんか?
大和町の店舗でも地産地消の食材を使い、天ぷら、お寿司などの看板メニューを中心に和の趣を感じる美味しいお料理で食事のシーンを演出していく八木さん。お店側はこれからも変わらずCO2排出削減や食品ロス削減を心がけていきます。
食品ロスの削減は、食材の廃棄や焼却に伴うCO2の排出を減らします。また、地産地消の食材を選ぶことで、輸送時に発生するCO2を抑えることができます。こうした取り組みの積み重ねが、地球温暖化防止につながります。
では、食事に出かける私たちにできることは?
「お客様のご来店が予め分かると仕込みの段階で食材の量が調節できます。できるだけ予約をしてご来店くださると食品ロスにつながります。ご協力お願いいたします。」(八木さん) ちょっとした心がけでできるCO2削減実践。できることからやっていきたいですね。

店舗での取り組み
- 省エネ機器の導入
省エネ対応のエアコン導入
店舗のLED化 - 食品ロス削減のための実践
- 森林保全活動に参加
- クールビズの実施