※インタビュー記事(聞き手:庄島瑞恵)

太陽光発電で電力消費量を削減。ボイラー燃料削減にも挑む

佐賀市内の車の玄関口佐賀大和ICから約15分。多くの自然に恵まれた富士町古湯温泉があるエリアでクリーニング店専門店として創業して70年。衣類クリーニングのみならず布団のレンタル・クリーニング、着物の染み抜きなども手がけ、日々の暮らしを支えてきた代表取締役の福島隆暢さんに、会社で取り組んでいる取り組みについてお話を聞きました。

クリーニング部門を中心に複数の部門を展開。
工場に太陽光パネルを搭載し、機械の稼働に活用

有限会社クリーンライフ福島の創業は昭和29年。佐賀市富士町に本社を置き、大和町クリーニング工場、鍋島町にふとん・リネン関連の工場を構えています。また、着物など和服関連のメンテナンスを行う着物クリーニング部門もあり、幅広い分野でクリーニング技術を提供しています。

クリーニングをする際には、大きな機械を稼働する必要があり、稼働させるための燃料や水も欠かせません。福島さんは、環境への配慮を考え、NPO法人CoCoLoが実施する「SDGs達成に貢献する事業」の自家消費型太陽光のCoCoLoの会に入会し、自社の工場に太陽光パネルを載せて発電を行っています。 「太陽光パネルに取り組んだのは令和3年です。現在、大和の工場にパネルを載せて発電した電気は業務で使用しています。クリーニングの機械全てを賄うには足りないのですが、太陽光発電により以前よりは省エネできています」(福島さん)。

使用燃料を見直し重油から灯油へ。

クリーニング業務には燃料も欠かせません。同社ではボイラーを炊く際、従来は重油を使用するところを灯油に切り替えて排気ガスの削減を図っています。ボイラーを稼働した時に出る蒸気の一部はアイロンがけの作業の時に使用しており、残りの蒸気は捨てずにタンク内の熱交換器を通すことでタンク内の水をお湯にして、そのお湯でクリーニングを行っています。わざわざお湯を沸かすたにエネルギーを消費することがないので、燃料の削減にもなり、CO2削減にもなっています。

省エネや脱炭素の問題に真摯に取り組んでいる福島さんは、業務で使用するエネルギーを水素エネルギーに転換することを視野に入れ、展示会に行ったり情報収集を念入りに行っています。 「世界は水素エネルギー化の動きが進んでいるのに、日本はまだインフラが整備されていません。ボイラーの展示会などで色々な話を聞いてきました。ボイラーに燃料を供給するのに、液体水素と水素ガスがあるのですが、この辺は液体水素がありません。ないならば、地域でなんとかできないか、といった発想までしています。元々、新しいことが好きで、CoCoLoさんで色々と勉強していると、CO2削減の意識がさらに高くなったと思っています。頭の中では構想が先を行っています」(福島さん)。

長年取り組んできたリサイクルは地域貢献にも寄与

リサイクルの実践は太陽光や燃料削減の取り組みよりも以前から行ってきたそうで、クリーニングの店舗ではハンガーの再利用を促進しています。店舗の専用ハンガーを持参した本数によって背広やカッターシャツのクリーニング代を無料にして顧客のリサイクルに対する意識を高めています。利用者にとってはこうしたキャンペーンがリサイクルの行動に繋がり、日常生活の中で自然と省エネと結びついていることになります。「お客さんには捨てるよりもリサイクルした方がいいよねって思ってもらえたらいいなと思います」(福島さん)。

また、布団のリース部門ではリース期間が終了した布団を施設に贈呈してリサイクルしています。業務用の布団は一般のものより品質がよく、廃棄するにはもったいない、という発想から布団の寄付をするようになったそうです。「布団は、洗浄・消毒してからお渡ししています。布団をクリーニングするという習慣は一般のご家庭にはないでしょう? 1回クリーニングしてみてください。された方はびっくりされますよ」(福島さん)。 寄せられる布団が多い場合は、寄付以外にリサイクル屋に販売して、無駄のない循環を心がけています。

2023年 SDGs宣言。すでに9つの目標を達成

令和5年に、佐賀銀行がサポートするSDGs宣言を掲げ、17項目の目標を意識しながら、充実した職場環境(4.5.8)、環境に配慮した事業活動(7.12.13)、高品質なサービスの提供(8.17)、地域貢献、社会貢献(9.11.17)に取り組みを継続しています。現在、17項目中の9項目の達成を目指しています。

「うちの取り組みの中で、1つでも2つでも他のパートナー企業さんの参考になって、取り組みが広がってくれたらいいなと思っています」(福島さん)

ゼロカーボン化、SDGsなどに積極的に取り組み、自社だけではなく、地域や関係先のことまで幅広く改善していこうとする姿勢はお手本にしたいくらいです。省エネ、ゼロカーボン社会をつくっていくのは「誰か」ではありません。誰もが自分ごとと捉えて一歩を踏み出すために、取り組み実践をされている企業のヒントを参考にされてみてはいかがでしょう。

社内の取り組み

  • 太陽光発電の自家消費や井戸水利用等のクリーンエネルギー使用
  • 単独浄化槽での汚水処理、浄水排出
  • リサイクル製品の積極利用
  • 冷暖房の使用抑制
  • ボイラー燃料削減のための機器の入れ替え
  • NPO法人CoCoLoが実施する【SDGs達成に貢献する事業】2021年8月・自家消費型太陽光のCoCoLoの会入会
  • 2023年1月佐賀銀行によるSDGs宣言。
    (充実した職場環境)4.5.8な取組
    (環境に配慮した事業活動)7.12.13な取り組み
    (高品質なサービスのご提供)8.17な取組
    (地域貢献、社会貢献)9.11.17な取組 をしている。17項目の内9項目の達成を目指しており2030年目標に推進している