※インタビュー記事(聞き手:庄島瑞恵)

「SDGsを考える会」を社内に発足。SDGsについての理解と行動を全社に浸透させる活動を促進

大正11年(1922)創業の田島株式会社は、農機具販売から出発して、エネルギー、水道工事といったライフラインを支える事業を展開し、今年で100周年を迎えました。

常に未来を見据え、生活に密接に関わるからこそ環境問題にも目を向け、積極的にSDGsに取り組んでいます。社内でのゼロカーボンの取り組みなどについてお話を伺いました。

「ガス」を効率よく活用して省エネを推進

「さあやろう!と構えるのではなく、社内で以前からやっていたことってありますよね。実はそれがSDGsに繋がっていることって、いっぱいあるんじゃないかと思います。」と田島社長。エネルギー供給やリフォームなど、様々な部門を持つ田島株式会社では業務内容そのものが環境問題に直結しています。

「私どもは、LPガスが環境にやさしいエネルギーであることを、商品として自信を持って提供しています。約20年前から社内はガス空調にしています。空調で温度を上げ下げするには電気の力を必要としますが、少しでも電気の使用量を抑えられるのがガス空調のメリットです。電気のエアコンは、気化した冷媒がコンプレッサーで圧縮されて高圧高温になって暖房します。ガス空調の場合もコンプレッサーを動かすのは同じですが、消費電力は電気空調の10分の1ですみます。ガスはランニングコストが良いのです。そもそも、ガスは熱に変えるのに有効で、電気は照明に向くので、ガスコンロは効率が良いといえます。

 ガスの有用性から、全国的にガス空調の導入例が加速化しており、特に小学校の体育館でガス空調設備の導入が増えています。理由は、ガスは災害に強いから。だから、避難所として使われる体育館にガス空調を設置するところが増えているのです。」(田島社長)

「SDGsを考える会」のきっかけは勉強会

社内でSDGsの勉強会が開かれたことがきっかけで、もっと真剣に取り組みたいと手を挙げたメンバーが集まってできたグループが「SDGsを考える会」でした。社員の自発性から誕生した会からの提案や活動のおかげで、社内ではSDGsの意識が少しずつ浸透してきているそうです。

「勤務中は、家を不在にしていますよね。だから、環境活動の一環で宅配を会社で受け取れるようにしました。これで宅配のドライバーさんが無駄に移動するのを防ぐことができます。他にも、自転車で通勤する人が増えました。遠い人は小城市から会社まで自転車で通勤している人もいますよ。」と田島社長。

全社的にSDGsを考える会が、取り組みを促進しているそうですが、会の活動が確実にCO2削減に繋がっているようです。実現に向けてどんなことを実践しているのでしょう。

「まずは、自分たちがやっている仕事がSDGsに繋がっていることを認識してほしいと思っています。SDGsは実は身近なことで、やっている仕事を単なる「こと」として見てほしくないんです。例えば、リフォームのご提案をする時、今のトイレは従来型のトイレより節水機能が高く、導入したら家計にも未来の環境にもいいということをお知らせしますが、このこと自体がSDGsに結びついているということを担当者に伝えています。」とリーダーの高嶋さん。

SDGsの動きはどんどん広がり、会議の際の資料をデータ化してペーパーレス化を推進したり、マイボトルを持参したりする社員さんが増えてきているそうです。「SDGsを考える会」では「社内での社員の意識、行動レベルでの浸透をもっと深めていきたい」という意識を持ってSDGsの取組みを進めています。

リフォーム部門で「省エネ」を提案 環境に家づくりでいい町づくりを目指す

エネルギー供給、水道・設備工事のほかにリフォーム部門も設置している田島株式会社では、環境に配慮したリフォームを提案することでも環境問題に寄与しています。

「スクラップ&ビルドという国の方針から一転、今、国は環境のために壊して新しく建てることではなく、建てた家を活かして機能性をプラスしてリフォームすることを推進しています。弊社のリフォーム部門でも、環境のことを考えた設備やプランをご提案して、快適に過ごしていただけるようなリフォームを心がけています。」(田島社長)

新たに加わった不動産部門では、空き家をリノベーションして人を呼ぶ「まちづくり」にも力を注いでいます。中心市街地は活性化を推進しながらも、空き家は増えていくばかり。ならば空き家をリフォームして若い世代に住んでもらうことで、街に人が集まり活性化に繋がるという発想です。社会にとっても環境にとってもWIN-WINな仕組みづくりがまちに新しい風を吹かせています。

事業者が結集してカーボンニュートラルの取り組みを加速

目標を同じくする事業者同士が力をあわせることでカーボンニュートラルを進めていく動きがあるそうです。 「2050年に向かって新たに動き出していることがあります。事業者さんが集まって、『カーボンニュートラル推進協議会』を立ち上げて、カーボンニュートラルを推進していきます。家の屋根に太陽光を載せて余った電気を買うという事業をやって電気の地産地消をしようという動きです。」(田島社長)

各家庭で太陽光でエネルギーを生み出すことは、カーボンニュートラルの一手になります。佐賀県全体でこの動きが広まることで持続可能な社会の実現に一歩ずつ近づいていくことでしょう。今後の取り組みに注目です。 また、この他に長期のプランとしては、創業100周年を記念して「県民参加の森林づくり事業」にも参画。富士町・嘉瀬川ダム近くの一画で広葉樹を植林し森をつくります。樹を植えて森をつくり、自然環境を整え、100年後の未来に向けて歩んでいます。